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脳腫瘍各論(4)神経膠腫

神経膠腫 glioma
神経上皮性腫瘍の大部分がグリアとその母細胞に由来し、腫瘍の発生母地により、大きく4分類される。これらは、1.星状膠細胞(astroglia or astrocyte)、2.稀突起膠細胞(oligodendroglia)、3.上衣細胞ependymal cell、及び、4.これらの未分化な細胞、である。


1.星状細胞系腫瘍 astrocystic tumors
全神経膠腫の約80%を占め、大きく分化型で増殖速度の小さいびまん性星状細胞腫(diffuse astrocytoma)、分化・増殖速度が中程度の退形成性星状細胞腫(anaplastic astrocytoma)、未分化型で増殖能の高い膠芽腫(glioblastoma)の三つに分けられる。



  •  びまん性星状細胞腫 diffuse astrocytoma
    好発年齢 peak:30、Karnohan分類:Grade 2
    特徴としては、造影強調で、強調効果なし
    *毛様細胞性星細胞 pilocytic astrocytoma
    小児に発生し、好発部位は小脳半球・虫部
    画像診断:X線CTで小脳の嚢胞、造影剤で増強される充実性の腫瘤が確認される。

  • 退形成性星状細胞腫anaplastic astrocytoma
    好発年齢 peak:40~50、Karnohan分類:Grade 3
    病理学的特徴:細胞の多形成と核異型の出現、核分裂増の増加等の退形成変化。
    画像診断:CTやMRI上、astrocytoma、glioblastomaに似るが、リング状の増強効果や大きな壊死巣は見られない。

  • 膠芽腫 glioblastoma ―多形膠芽腫(- maltiform)―
    好発年齢:peak:55~60、Karnohan分類 Grade 4
    病理学的特徴:肉眼的にも顕微的にも多彩な形態像を示す。
    急速な進行、壊死、出血、血管増生・内皮細胞の増殖。
    組織学的には大小様々な円形、楕円形、不定形の密な細胞増殖が見られ、核の大小不同、核分裂像、多核・巨核など。最も高度な退形成変化を見せる(fig.1-5)。
    腫瘍内は壊死巣necrosisが存在し、その周囲に核が柵状に配列した所見(nuclear pseudopalisading)が認められる。




2.稀突起膠腫 oligodendroglioma
好発年齢は40台でpeak、Karnohan分類でGrade 2,3


<病理学的特徴>
正常脳との境界は比較的明瞭。光顕的には細胞密度の高い腫瘍だが、分裂像は少ない。
細胞のほぼ中心にある類円形の核とその周囲にが淡明な細胞質(perinuclear halo)をもつ細胞で構成されている。―目玉焼き像(fried egg appearance)、蜂の巣構造(honeycomb structure)
腫瘍細胞に退形成性変化が加わったものが退形成性乏突起膠腫 (anaplastic oligodendroglioma)。Kornohan分類でGrade 3、5年生存率約40%。


<画像診断>
単純X線CT画像石灰化、嚢胞を伴う境界不明瞭な低吸収域
MRI:T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号、石灰化部位は無信号




3.上衣腫 ependyoma
好発年齢は15歳未満、peak:0-9、と主に小児に発生し、Karnohan分類でGrade 2-3
好発部位は第4脳室壁が最も多く、次いで側脳室、第3脳室、中脳水道。肉眼的には、境界は鮮明、軟らかく赤みを帯びた灰色の腫瘍である。
組織学的には、
血管周囲偽ロゼットperivascular pseudrossete:腫瘍細胞が血管周囲に向かって突起を伸ばす.
②ependymal rossete.
③ependymal canal.等の形成が見られる。
脳室壁やくも膜下腔に腫瘍細胞の播種を来たす

<画像診断>
単純CT:等~低吸収、造影CTで中~高度の増強効果
MRI:T1強調画像で低~等信号、T2強調画像で高信号、ガドニウムで明瞭に造影。


<鑑別を要するもの>
後頭蓋窩腫瘍:髄芽腫
テント上腫瘍:星状細胞腫、稀突起膠腫、上衣下巨大細胞性星状細胞腫.


*放射線治療の効果は小さ。原則として手術適応。




4.髄芽腫 medulloblastoma
胎児性腫瘍の代表例.好発年齢は3~14歳、peak:6-10.Karnohan分類でGrade 4.
小脳発生途上みられる外顆粒層細胞層の遺残。これが第4脳室天井の後髄帆部に残存したもの。
<病理学的特徴>
好発部位:小脳虫部に発生する赤味がかった灰色の腫瘍。周囲脳組織への浸潤傾向が強く、脳室壁やくも膜下腔へ、しばしば播種する
組織学的には細胞密度が高く、細胞核分裂像が多く認められる。腫瘍細胞は円形ないしは楕円形の核を持ち、細胞質に乏しい。
特徴的な所見として、腫瘍細胞の花環状配列(Homer-Wright型ロゼット)、壊死巣、synaptphysinが免疫組織化学的に陽性(神経細胞系への分化を表す)。

<画像診断>
単純X-P:縫合利段、指圧痕
単純CT:等~高吸収、均質な腫瘍性病変が小脳虫部から第4脳室を占拠。出血や石灰化がある場合は不均一。
MRI:矢状断像で腫瘍と第4脳室、脳幹、小脳との詳細な関係を得られる。
T1強調画像で低信号、Gd-DTRA増強MRIで著明な増強効果を示す。
髄液を介した脊髄播種も確認することが大切。


<治療>
放射線全脳照射



1.星状細胞系腫瘍 astrocystic tumors

グレード1(ガドリニウム増強T1強調画像)
fig.1-1グレード1(ガドリニウム増強T1強調画像):
左(毛様細胞性星状細胞腫)、右(上衣下巨細胞性星状細胞腫)


グレード2(びまん性星状細胞腫)
fig.1-2.グレード2(びまん性星状細胞腫):
左(ガドリニウム増強T1強調画像)、右(FLAIR画像)


グレード3(びまん性星状細胞腫)
fig1-3.グレード3(びまん性星状細胞腫):
左(ガドリニウム増強T1強調画像)、右(FLAIR画像)


グレード4(びまん性星状細胞腫)
fig.1-4.グレード4(びまん性星状細胞腫):
左(ガドリニウム増強T1強調画像)、右(FLAIR画像)


多形膠芽腫 glioblastoma maliform
glioblastoma病理学所見
fig.1-5.膠芽腫の顕微鏡像。高細胞密度の腫瘍組織で、腫瘍細胞の核は大小不同で、核分裂像(矢印)が豊富である。H-E染色。


 


 




 


2.稀突起膠腫 oligodendroglioma
 目玉焼き像fried egg appearance / 蜂の巣構造honeycomb structure
 
fried egg appearance


稀突起膠腫の顕微鏡像。類円形の核と明るい細胞質をもつ小型の腫瘍細胞から構成される。H-E染色。


 




 


3.上衣腫 ependyoma
血管周囲偽ロゼットperivascular pseudrossete
 上衣ロゼット

上衣腫の顕微鏡像。腫瘍細胞が管腔を囲んで配列するパターン(上衣ロゼット)がみられる。H-E染色。


 




 


4.髄芽腫 medulloblastoma


 medulloblastomaT1強調画像
fig.4-1.髄芽腫のMRI像(造影T1強調横断像)。小脳虫部に腫瘍陰影がみられる(矢印)。


 Homer Wright rosette.jpg
fig.4-2.髄芽腫の顕微鏡像(H-E染色)。小型で未熟な腫瘍細胞が高密度に配列し、一部で偽ロゼット(矢印)配列がみられる。


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まとめ

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